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永井均 著、『子どものための哲学対話』を読みました。

最近、宇宙とか自我とかについて色々調べ・考えあぐねていたら、一周回って永井哲学に辿り着き。amazon的に本書が入門書として最適というようなこともあり、購入しました。

超・面白かったです。

非常に考えさせられ、もともと思ってた・疑問を抱いていたところもありましたし、また共感もできましたし、共感するだけに留まることなく考えが溢れたりしました。

たとえば『人生体験マシン』についての項とか。
現実が不幸せで不都合な人生なら、ずっと『“良い人生”であるということをひたすら体験させる』機械。にせものの人生だけど非常に幸福で満足な世界に浸ったままでいられるとか。

これ、2chまとめの、
[リンク]:“この世が仮想現実である可能性について(哲学ニュースnwk)”
というスレもあったけど、まさに そういうのもあったりとか、

フジリューの短編集『WORLDS』収録の表題作も、そんな内容だったような。
(収録作の“WORLDS”では、夢の世界の“普通の世界”が仮想現実で、現実は暴漢だらけ殺人だらけの世界で、睡眠マシンで心地良い夢に浸ってればいい というだけの主人公。で結局は睡眠マシンのレベルを上げられて、夢すら見れない闇の中に主人公が行ってしまって完結。という話だったけど。)

……そういうの思い出しましたね。


主観、広義の認識、客観性など、視点がこれまで“普通”とされてきたものとは異なる立ち位置からのめくるめく考え・思想が溢れててとても面白い。
基本、“ぼく”と、ネコの“ペネトレ”の対話形式で、ペネトレの変化球に“ぼく”は納得したりうなったりするけど、当然『哲学するための本』ですので、別にペネトレの言ってることが正しいワケでは無く、ペネトレの言ってることを自分で解釈していく そういう面白みですね。

刺激的ですよ。
『友だちはいらない』の章のP.69に、

『人間は自分のことをわかってくれる人なんかいなくても生きていけるってことこそが、人間が学ぶべきなによりたいせつなことなんだ。』

とか、

P.22では、
『ただ存在しているだけで満ち足りている』

とか。
このへんのコト、私 すっごく思ってたことで、この言葉の、それ以上の感覚が一体何かと それをどこか求めてたのがありましたね。

なので、それを踏まえて、巻末の解説とあとがきが秀逸でした。
とらえようのない感覚を言葉で表そうとしてる時点で、感覚自体が鈍化してしまったり、感覚を言葉を使って表現する時点で、言葉自体が 持 っ て し ま っ て い る “意味”が一人歩きしてしまって 感覚が空虚なものになってしまったり。
解説のP.137で『何かの意味をめがけて、どっと人が押し寄せるのだ』と。
フランクル心理学的にも、『人間は意味を求めてしまうもの』だとあったような気がしますし。
また、その意味も個々で人の求める意味は異なるもののハズなのに、それを言葉で示してる…言葉という、共通認識可能なツールを用いてる時点で、その言葉が[転ばぬ先の杖]的に万能薬として扱われがちになってしまうことが誤りで。(いや別に本来は誤りであっても“構わない”のですが。)

言葉や出来事に“意味(共通認識の)”はあっても、“解釈(この場合、主に独自の。)”が個々多数人によって存在する限り、空虚を埋める術は当人一人のみのものとなるから。だから『存在してるだけでで満ち足りる』ことがどれほどのことか。っていうコトなんでしょうけどね。

そして腹話術的な会話形式についても興味深く。
まぁ、これも主観をズレさせるというか。キャラクターの持ち物にさせてしまう、っていうか。
で、その『邪悪な真理』を何故、腹話術形式で語らざるをえないのか、に関しては いくら語りえないものとはいえ どうなんだろう というのはあります。
それを思うのは、今現在・現代にて使われる言葉が、言葉の発信者が言葉自体を自分のものとして使っていない可能性があるからだと思ってるんですけどね。客観事実の垂れ流しや、諦観、主観の放任など。

それこそ本当に、人形に手を入れて腹話術やってるんじゃなく、図星や虚言を吐くネコがただ近くで喋ってるだけなのかもしれません。


子どものための哲学対話 (講談社文庫)子どものための哲学対話 (講談社文庫)
(2009/08/12)
永井 均、内田 かずひろ 他

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[2012/03/15 00:05] | 書籍・雑誌
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