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Moran、1stフルアルバム『jen:ga』を聞きました。

Moranとしては初の…Fatima時代から考えてもHitomiとSoanは初のフルアルバムになるようで。

曲数が多いので通常盤を買いました。

2013 03 30 Moran『jen ga』


歌詞については今発売中のSHOXX 2013年5月号でのHitomiインタビューを参考にして。


1曲目、『薔薇色の地獄』。
ジャジーな雰囲気から、薄明かりの部屋のようなイメージが浮かぶような曲調。
歌詞は状況が地獄で“2人”は薔薇色というコトのようで。


インタビュー参考なんですけど、“塔”なんですよね。アルバムとしての曲の構成が下から上へ登っていくようで。こういう試みは面白いなぁ~と。

2曲目、『紅差し』。
3曲目、『ロワゾブルー』。
どちらもシングルをアルバム用になってます。私みたいな素人が聞いても明らかにメンバー5人になってからの(このシングル2枚は3人時代)音が増えているのがよーくわかります。

4曲目、『Bulbs』。
静かに始まるのでど真ん中バラードかと思ったら疾走感があってポップに突き抜けていく曲。Soan作曲だよなー、って思った納得。(笑)
意味としては“球根”らしく。インタビュー込みで歌詞を読むと実にわかりやすく。その巷に溢れる一般的な歌との比較込みでね。 インタビューでは触れてなかったと思うんだけど、歌詞の時間としては過去を思い出してるような感じになるのかな。

元来生まれ持っていた、特性として持っていたものが、生まれてしまったことによって雨風にさらされ汚れてしまった。けど、ほんとうは強い意思と希望を明確にしていたハズなんだ! …というような。

そんな強い意思が示されてる歌詞のラスト部分はすごくポジティブだし、曲もこの部分がパァーッと開けてて。最後の鍵盤は雨が上がって滴が落ちるような雰囲気にも感じた。


5曲目、『メランコリア』。
イントロの変態リズムがSizna曲だなーと。ww
1分44秒の短い曲。あっという間に風が抜けていくような曲だけど、歌詞は“崩壊”を。
Hitomiインタビューによると映画からのインスパイアだそうで、「よく笑う姉と、塞ぎ込んでる妹」でしたっけ?要はこれも、“妹”の陰鬱が常という、その冷静さが強さなのかもしれないけど……これはHitomi解釈とは違っていいと思うんだけど、
普段ポジティブな人が“崩壊”や“不条理”に慌てふためくのは弱さかもしれないけど、陰鬱な人が“崩壊”や“混沌”を望むのは純粋な理想が叶っただけで、強さではなく退廃美のような。やっと死に近づける高揚感のような。
この曲の段階では“立ち上がる”のか、“何かを為す”としているのかは未知数。と思った。

歌詞の“人格者ぶってた奴らが 誰よりも先に逃げ出した”は 好きです。(笑)


6曲目、『夜光虫』。
あぁもう歌詞が『ライフ オブ パイ』(映像賞)に感銘を受けたんだろうなー、というのがよくわかるもの。(by インタビューww)

ミドルテンポで淡々と進む曲調。これは歌詞の意図ともプラスになってるんでしょうね。
きっと舞台は虎が一緒に乗っている小さな小船なんでしょうけど(苦笑)、小さなタイマツを持って塔の中をさまよってるようなイメージがこの曲を聞きながら浮かんだ。
“停滞”とか、“迷う”とか 変化できない、好転させられないモヤモヤな内容。


7曲目、『Wing or Tail』。
やっぱりSoan作曲だった幻想曲。
曲自体にネガティブもポジティブも無い、けどニュートラルというワケでもないような。
曲自体に意味を持たせてないような雰囲気が一種の心地よさもあって、かといって『夜光虫』のような何も無さとも違うんだけど。
歌詞はそのまま。{いまこそわかれめ~旅立ちのとき~}みたいな。私も仕事しててそう思うよ。(←  )
でも歌詞の、「水辺に写る月を割って」があるから、『夜光虫』とは違ってちょっとは意思があるのかなと。『夜光虫』で起きてた「波紋」とは意味が違うんでしょうね。


8曲目、『ReCover』。
唯一のvivi作曲曲。狂ったようなロックテイスト。
歌詞はHitomiインタビューによるとクリエイターの悩み的な。

「正しく自分を愛せるよう」は誰のためになんでしょうね。他人のためか自分のためか。
誰かに対してのイタズラ心は、背伸びしたい自分でもあったり?“先の世界”に焦がれる自分とか?

身の丈に合った枠組みを提供してくれるのは自分では無いほかの誰かだったり。

でもそれが合わない、合わせたくない 拒絶する気持ちも自然にあったり、

伸びしろを見越した上で、丈幅の大きめの枠組みを用意してみたり。



9曲目、『Maybe Lucy in the Sky』。
発狂Sizna曲。ここから3曲続きます。このあたりアルバムで激しめの曲だけ聞きたいときはここから再生してます。
歌詞は“恐怖感”のようで。あくまで想像の・妄想からくる恐怖が中心というか。
上に近づいてきたし、手を差し伸べてくれる人もいるけど、それらが自分を罠に嵌めるんじゃないかと、そう不安がってしまうような。先に進むことへの恐れ。過剰な被害妄想。

コーラス部分がえっらい野太い声で面白カッコよかったですよw


10曲目、『Eclipse』。
このシングルから5人体制になったけど、これもアルバム用になってるのかな?


11曲目、『ある策士との遊戯録』。
ジャズというかスカ?かな。サックスが絡んでて楽しい曲。
歌詞はその中にアルバムタイトルでもある“ジェンガ”という言葉も入ってるので重要な曲になるんでしょうね。
そのまま物語として2人がジェンガをする様子だけど、
「悪びれずに 危ないピースに手をつける」相手と、「長引かせようと必死でいるのは大抵いつもこっちだけ」という相手に振り回されてる歌。

しかし遊びにおけるジェンガでの“完成”ってなんなんでしょうね。いかに高く積み上げていって、崩したほうが負け …っていうゲームだから慎重になるのはつまんないワケですからね。
でもそれをこと、恋愛関係…人間関係になぞらえると、それは鬱陶しくもありで。刺激が無いとつまんないけど、この関係を持続させるためには安定やら安心やらを図らなければならない。

でも、この歌のストーリーにある“相手”は「ピースを一つ持ち去って 姿を消した」ワケで。最初っから関係に持続性なんて求めてないけど、“自分”に喪失感を与えて印象を抱かせてしまった。“自分”にとって“相手”は刻まれて持続的な存在になってしまった。…というようなパラドクス。


12曲目、『浮遊病』。
Soanによるバラード曲。アルバムとしては一応の締めに当たるもの。
『Eclipse』の歌詞とのリンクも思ったんですけど、面白いんですよね。生きていく上での必要な“重さ”を表してることが。

Hitomiインタビューによると、対極にいる2人がお互い手を差し伸べあう っていうものらしいんですけど、それを重さで。
浮上することと、沈むことの意味がどちらもポジティブ・ネガティブ両方を意味しているような。ナインゴーツのアルバムで、『“白”をネガティブな意味で捉えた』という曲があったけど、Moranのこの曲では“浮く”コトと“沈む”コトを双方がダブルミーニングしてる。

浮くとか、深い水底から浮上することは息を吹き返すことでもあるし、光を見ることでもあるけど、“浮き足が立つ”とかだと不安定な感じだし。(「アイデンティティは重さをなくして 漂ってばかり」って歌詞もありますし。)
重さも、沈むこととか、“重い人”って言うとネガイメージだけど、“どっしり構える”とかは安定感を表す重さでもある。

いや、これ面白い歌詞ですよ。

そんで『Eclipse』の「沈むほうに入れないと駄目になる」とか、「純度が増すたびに 息が苦しくなる」とかも踏まえると歌詞の意味が裏打ちされてね。

ポジティブなものを否定する必要もなければネガティブなものを否定する必要もない。双方が必要。双方がそれぞれそのような状態になったときに、補完し合うことで、
「正しい重さが戻る」
なんでしょうね。うん。


13曲目、『Last piece of the jen:ga』。
Siznaによるインスト曲。
これオープニングSEでもじゅうぶんな立ち位置の役割を持つ曲だと思いますよ。ラストである必要がない曲調。…っていうか“前提”のような。


で、
歌詞カードには歌詞ではない言葉が綴られてるんですけど、それを読むとこの曲で意味しているのは“基盤”というか“土台”。それに最後に気付く っていう。





なんていうか、インタビューによる歌詞のガイドラインがあったお陰か、ストーリーの軸をしっかり追いながら聞くことが出来てすっごい面白いアルバムでしたよ!
曲自体として、『夜光虫』とか変化がなくて聞いててもつまんない感じなんですけど、それ自体がストーリーとして意味のあるものになってると思いますよ。変化の無いつまらない安心感。それが必要で且つ無意味であることが。

ジェンガっていうゲーム自体…『ある策士との遊戯録』の感想でも書きましたけど、高さを目指すものなんですよね。けど穴だらけで。いつ崩れるかわからない。
それがスリルがあって楽しいんだけど、人生に置き換えると穴だらけの高さなんて欠落だらけで不安や恐怖だらけ。抜くピースが無いと高くいけない。けど抜き方で安定するものもある。
高く上りたいタワーのジェンガは“自分”だけどそれを抜く…抜いていくのはほかの誰か。意図せず抜いたり想って抜いたり。

矛盾のバランスを内包した良作です!イイね☆

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[2013/03/30 00:40] | Moran
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